退去って本当に面倒くさいよね。
賃貸住宅から退去するときには、賃借人が「原状回復」を行う義務を負う。ところがこの「原状回復」というのが難しい。
そこで、通常は不動産の管理会社と賃借人とが交渉して費用負担分を決めるのだけれど、多くの場合、管理会社が賃借人に必要以上の費用負担を強いているらしい。
どうやら、不動産の退去費用は必要以上の金額を上乗せされやすい傾向があるという。
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リモコン壊して8000円
言われてみれば、そんな気もする。
以前住んでいたアパートには、ぜんぜん部屋を冷やせないエアコンが付いていた。よく見ると90年代に製造されたおんぼろだ。一応稼働するし、初めての一人暮らしだったからクレームは入れなかった。
あるとき、ひょんなっことでエアコンのリモコン。樹脂が経年劣化していたので、リモコンのカバー部分が破損してしまった。まずいなあ、と思ったけれど、エアコン本体にはなんにも問題がなかったので、特に不動産に連絡を入れることはなかった。
ところが、退去日当日、立ち合いで「リモコンが壊れている」と指摘を受ける。落として壊したことを告げると、「これは修理が必要になる」などと言われた。後日、請求書が届いた。8000円だった。
「あのリモコンにそんなに値段が付くのか……?」と思いつつ、それ以上に不当に高い退去費用は発生しなかったため承諾した。
今考えると、この8000円は どう考えてもぼったくりだ。エアコンの耐用年数はせいぜい10年であり、90年代製造のおんぼろには初めから資産価値がない。退去時に大学2年生で、毎日をお気楽に暮らしていた私には、そう言って反論するだけの知識がなかった。8000円も損してしまった。ちくしょー。
そこで、この記事では、私なりに意外な発見につながったところをまとめておく。参考にしたのは主にYouTubeの「リベラルアーツ大学」。
きっと一人暮らしをしている人にも役に立つ内容なので、参考にしてほしい。
びっくりその1 「原状回復」とは、住む前の状態に戻すことではない
多くの人が勘違いしており、不動産会社が不当な請求をふっかける理由になるのがこの「原状回復」だ。
国土交通省が公開している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義している。
わかりやすく説明すると、「基本的に建物価値は時間とともに下がるし、その下がった分は貸した人の負担。ただし、それ以上に大きく傷をつけたり壊したりした場合は、その分だけを借りた人が負担するよ」ということだ。
そういうわけで、「住む前の状態に戻す」というのは勘違い。それに、住み始めてから発生した汚れや日焼けなどがあったとしても、基本的には貸した人の負担になる。例えばクロス(壁紙)の場合、新品の価値は6年程度で1円にまで下がるらしい。つまり、同じ部屋に6年以上住んだなら、クロスの価値は必ず1円に下がるので、張替えを求められても1円しか負担しなくていい。
私たち居住者が注意しなければいけないのは、「自分で壊したり、汚したりしたもの」だけだ。
ちなみに私は、カッターを落として派手にフローリングを傷つけたので、これはおそらく負担が必要になります……
びっくりその2 実は火災保険が役に立つ
不意の事故などで床を傷つけたり、部屋の備品を壊したりしたとき、実は火災保険が使える。知らなかった。ただし注意点として、保険金が下りるのは入居時のみ。退去してから申請しても受け付けてもらえないから、退去前に手続きを急ぐ必要がある。私のフローリングにつけた傷もひょっとすると該当するかもしれないと思い、保険会社に連絡してみた。
びっくりその3 管理会社はトラブルを好まない
不当な費用を提示しておきながらトラブルを好まないとはどういうことなんだ、と思ったけれど、理由を聞いて納得した。
退去費用の見積もりを高めに出すといっても、10数万円程度のこと。利益としてみても、あまり大きな数字ではない。しかし、入居者がこの金額に異を唱えてトラブルになると、時間がかかるうえにコストも増加する。だから、意外と交渉の余地が残されているのだ。
他にも、調べていると知らないことが次々出てくる。興味を持った方は見てほしい。
退去費用は、知識があれば抑えられる!
私の部屋には、いま3点の懸念箇所がある。
一つはクロスの破れ。これは自然な損耗だと申告する。もし認められなかったとしても、クロスの耐用年数6年から考えて私の負担率は半分以下になるはず、と主張する。
二つ目は、床の傷。これは私がカッターでつけてしまったものだから、私が負担する。ただし、火災保険の適用範囲に該当するため、後で保険金が下りる。
三つめは、エアコンの一部破損。これも私の過失にあたるけれど、火災保険で対応可能。
こんな感じで不安な個所を並べ、自分の対応方針を整理しておくだけでも、退去費用の不当請求対策になるはず。
私が参考にしたYouTubeはこちら⇒「第136回【ほぼ無料に出来る】賃貸物件の退去費用をとことん安くする方法【お金の勉強 初級編】」
国土交通省のガイドラインはこちら⇒「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について」
退去で嫌な思い出は残したくないからなあ。
さあ、かかってこい管理会社!!!