大学辞めたい! しんどい気持ちを乗り越えるには【経験者が語る】

「大学がつらくて、もう辞めたい…」そんな気持ちで息苦しくなっていませんか。
講義の内容が合わない、周囲と価値観が合わないなど、様々な理由で大学へ行くのがしんどくなる気持ちがあるかと思います。
筆者も、大学1年生のときに同じ気持ちに悩まされました。授業の内容についていけず、周りの学生とも溝を感じていました。
しかし、1年の休学を挟みながらも、5年掛けて卒業することができました。
今は、大学を卒業することができて良かったと思っています。
この記事では、私の実体験を踏まえながら、「大学を辞めたい」と感じる理由を詳しく解説します。
そのうえで、中退すべきか、通い続けるべきかを考えるときの重要なポイントを説明します。
「大学を辞めたい」という気持ちは決して甘えではありません。
この記事を最後まで読んで、これからの進路について考えてみてください。

大学へ行くのが辛く感じる理由

まず、安心してください。「大学を辞めたい」と感じている人はあなただけではありません。

また、大学を辞めたいと感じることは「ただの甘え」でもありません。

辞めたいと感じる理由は、きっと一つだけではないでしょう。

まずはあなたが大学を辞めたい理由を整理し、受け止めることが大切です。

国の統計から見る大学中退の理由

文部科学省が2014年に行った調査「学生の中途退学や休学等の状況について」によると、当時の全学生の2.65%が実際に大学を中退しています。

そのうち約20%は、経済的理由の中退であり、理由としては最も多くなります。

あなたの中退したい理由は、経済的理由でしょうか?

「学費を支払うことができない」

「学費を支払うためのアルバイトが忙しく、学業に専念できない」

こうしたお悩みがある方は、教育ローンや奨学金の検討を進めたり、より学費の少ない大学への転学を検討したほうが良い場合があります。

内訳は次のとおりです。

学生が中退する理由

学生の約2割は経済的理由で中退を選んでいる
(引用:文部科学省「学生の中途退学や休学等の状況について」)

経済的理由以外の理由で大学を辞めた学生は約8割に上ります。

理由は「学業不振」「学校生活不適応」「就職」「転学」など様々です。

あなたの思い当たるところはありませんでしょうか?

「大学を辞めたい!」という気持ちで突発的に行動する前に、一度振り返ってみましょう。

筆者も「大学を辞めたい!」と感じた経験者です。

2016年の春に入学するやいなや、「学校生活不適応」と「転学」という2つの理由で、真剣に悩んでいました。

【実体験】私が大学を辞めたくなったワケ

筆者が真剣に大学をやめようと思っていた背景には、3つの事情があります。

1.不本意の入学だった

筆者は高校生の頃から、ある国立大学を志望していました。

しかし、大学受験に失敗してあえなく浪人。2回めのチャレンジでも再び落ちたので、泣く泣く滑り止めの私立大学へ入学することになったのです。

大学受験に失敗したのは自分の実力不足が原因だというのに、その事実と真正面から向き合うことができていませんでした。

もともと志望度の高くない大学に入ってしまったため、一層屈折した気持ちになってしまったのです。

「こんな惨めな大学に入学するぐらいなら、いっその事再受験してやる!」と本気で思っていました。

2.経済学部の講義に全く興味が持てなかった

もともと経済学に興味があったわけではありません。

「テレビでみる経済ニュースについてもっと理解できるようになれたらカッコいいな……」

という軽い気持ちで経済学部を受験してしまいました。

ところが、経済学部に入学して最初に学ぶ経済学は「ミクロ経済学」。

「政策金利」とか「インフレ」みたいな難しそうな経済の仕組みを知りたくて経済学部に入ったのに、「リンゴとみかんをいくつずつで交換するか」という議論を延々と聞かされます。

すぐに嫌になっちゃいました。

3.周囲と馴染めなかった

筆者は中高一貫校出身だったので、中学1年生以来、一度も友達作りをしたことがありませんでした。

そのため、新しく友達を作ることが途方もなく苦手だったのです。

しかも1年浪人したので、同級生は1歳年下の子たち。

高校生のようなノリに全然ついていくことができませんでした。

 

……とまあ、こんな理由で2016年のゴールデンウィークに入る頃には完全に大学へ行く気を失ってしまいました。

どうすればしんどい気持ちを克服できるのか?

ここまで、大学中退に関する国の調査と、実際に筆者が「大学を辞めたい」と感じていた理由についてお話してきました。

金銭的理由以外で「大学を辞めたい」と思っているときは、一度その理由を明確にしてみることが重要です。

「大学を辞めたい」と考えることはいつでもできますが、一度大学を辞めてしまうと二度と取り返しがつかないからです。

まずは「大学を辞めたい」という気持ちの背景にあるものを整理してみましょう。

その上で、とりあえず大学を辞める前に、できることを考えてみませんか。

ここからは、筆者がしんどい気持ちと正面から向き合って、大学に通いながら取り組んできたことを紹介します。

大学で自分の居場所を探してみる

筆者が大学を辞めたいと思う根本には、自分が大学にいるどの人ともつながりを持つことができない孤独感と疎外感がありました。

そこでとりあえず、興味を持ったサークルに片っ端から連絡を取ってみて、一番自分にフィットしそうな人たちを探しました。

意識は高いくせにミーティングばっかりで何もしないビジネスサークルは3ヶ月で退会。

大人しそうで、真面目そうな人たちのサークルは……筆者の場合は学生新聞制作サークルがフィットしました。

もし大学の中で自分の居場所がなく、辛い思いをしているのであれば、相性の合う人を探してみてください。

相性の合う部活動やサークル活動、学内ボランティアなどが見つかれば、大学の講義がどれほど面白くなくても、それだけで大学へ通う気持ちになれます。

「人見知りだからサークル活動が苦手…」という気持ちでも、心配はいりません。

世の中は意外と人見知りだらけですから、人見知りの人でも馴染めるサークルは必ずあります。

大学の外で、学生だからできることに挑戦してみる

もし学内のサークルで興味のある取り組みが見つからなかったら、学外に目を向けてみましょう。

「学生」という身分だから利用できる制度が世の中にはたくさんあります。

たとえばジムの学割。

都心の学生なら、有名企業の長期インターンシップなどにも参加することができます。

また、興味のあるアルバイトなどに応募して、社会経験を積むことも可能です。

これは新卒で正社員として働いた経験から言えることですが、「学生」という肩書は一種の免責効果があります。

社会人になると、生きているだけなのに「責任」という強迫観念が降りかかります。

それどころか、立場が上の人から暴力的な言葉を投げつけられたり、無理難題を押し付けられるのが「社会人」なのです。

筆者は新卒で大手コンサルティング会社に就職しましたが、「世の中にはこれほどまで感情に任せて他人を操縦しようとする人間がいるのか」と驚愕しました。

恥ずかしいので詳細は伏せます。

「学生」という肩書を持っていると、仕事の中でちょっとした失敗をしても、大目に見てもらえます。

大学をやめた人には利用できない、「学生の特権」なのです。

大学を辞めなければいけない理由はあるのか?

ここまで、筆者の体験をもとに「大学を辞めたい気持ちと向き合い、前向きに取り組む方法」をお伝えしました。

それでもまだ、「やっぱり大学を辞めたい…しんどい…」という気持ちを抱えている方もいるでしょう。

筆者もサークル活動で充実感を覚え、「大学を辞めたい」という気持ちを克服できるようになるまで、1年ほどかかりました。

人によっては、大学をやめたほうが人生を前向きに歩んでいける可能性があります。

「大学を中退したほうが良いパターン」と「学生の肩書を持っていたほうが良いパターン」、双方を考えてみましょう。

大学を中退したほうが良いパターン

大学を中退したほうがいい人は、「大学をやめた後にやりたいことがある」人たちです。

  • 就職や企業などやりたいことが明確にある
  • 他の大学に進学することが決まっている

これらの場合は、大学に在籍すること自体が人生のボトルネックになります。

大学をやめなければ、その先の未来に進むことができないからです。

学生の肩書を持っていたほうが良いパターン

逆に、やりたいことが何も決まっていないのに、大学を辞めるのは可能な限り避けたほうが良いと筆者は考えています。

  • やりたいことがまだ決まっていない
  • 考える時間がほしい

こういう場合、中退の判断をするには早すぎます。

大学を辞めると、次のものを失います。

  • 学生の肩書
  • 大卒者向けの求人
  • 自由に使える大学の設備、相談できる人たち
  • などなど…

確かに大学へ行くことがしんどい気持ちはわかります。

筆者も通う意味があるのかわからない大学へ行き、一人寂しく過ごし、誰とも言葉を交わさないまま夜を迎える日は、本当に惨めな気持ちになっていました。

しかし、大学を中退して得られるものは「大学へいかなくて良い」ということだけです。

高卒の社会人になってしまうと、たちまち「社会人なんだから仕事につけ」「世帯を持て」といった、見えない要求を浴びせられることになります。

学生がニートのような生活を送ることは認められても、本物のニートは社会の中で完全に居場所をなくしてしまうおそれがあります。

大学を中退した後に何もすることが決まっていないということは、なんの肩書も実力もないまま社会に放り出されることと同じです。

たしかに大学へ通うことがしんどい気持ちはわかりますが、それ以上にしんどい状況に陥ることだけは避けてほしいと、筆者は切に願っています。

大学を辞める前に考えておきたいポイント

改めて、大学を辞める前に考えておきたいポイントを整理します。

  • 大学をやめた後にやりたいことは決まっているのか?
  • 大学を辞めずにできることは全部やったのか?

たとえば、「すでに別の大学に合格している」とか、「大学を辞めて就職する」「起業する」「留学へ行く」など、中退した先のことまで考えている方は、信じる道を進んでください。

新天地での成功を心から願っています!

しかし、大学を辞めた後のことについて、特に何も決まっていない方は一度、思いとどまってください。

大学を辞める前に、できることはすべて手を尽くしたでしょうか?

自分に合いそうな部活やサークルは探しましたか?

関心のあるアルバイトやインターンシップには申し込みましたか?

その他、「学生」という肩書を持っているからこそできる特権は満足できるまで行使しましたか?

一度大学を中退すると、もう引き返すことはできません。

慎重に検討し、在学中にできることにすべて挑戦した後に、最後の切り札として「中退」のカードを使ってください。

大学を辞める前に休学するのがおすすめ!

筆者としては、大学を辞める前にぜひ「休学」制度を利用することをおすすめします。

大学によって休学中にかかる費用はバラバラですが、多くの大学は通学するよりもかなり安い金額で休学を認めてくれます。

また、休学中でも通常通りに大学の食堂や図書館を利用することが可能です。

一度休学することで、たっぷりと時間を使って、自分のやりたいことを探してみてください。

大学を中退するにしても、卒業するにしても、その後のキャリアは「就職」となります。

休学によって自由になった時間を利用し、社会勉強をしながら「やりたいこと」を探してみるのもいかがでしょうか。

また、休学中でも就職活動は可能です。こんなサービスを利用してみるのもよいかもしれません。

インターンシップの例

就職エージェントの例

「学生」という特権を利用して、あなたが心から取り組みたいと思えることを探してください。

精神的に、新しいことに取り組めそうにないという方は、無理は禁物です。

たっぷりある時間を、療養のために使いましょう。

筆者は大学を卒業して良かったと思っている。

大学1年の4月時点では、大学を辞めたくて辞めたくてたまらなかった筆者でしたが、大学そっちのけでサークル活動に専念した結果、いつの間にかそんな気持ちはなくなっていました。

大学は不本意入学だし、講義はつまらないし、周囲の同級生にはついていけない。その事実は変わりませんでした。

しかし、サークル活動の中に自分の居場所を見つけることができたことで、「自分が大学にいるどの人ともつながりを持つことができない孤独感と疎外感」を克服することができました。

1年休学の期間を挟み、ストレートにはいかなかったものの、無事に5年で卒業することができました。

振り返ってみると、大学に通い続けることが出来てよかったと心から思っています。

大学の講義も同級生も全く馴染めませんでしたが、「大学を卒業して損をした」ということは全くありません。

あなたも、「大学を辞めたい」という気持ちと真摯に向き合い、克服のためにしっかりと時間を使うことで、いつの間にか「大学を辞めたい」という気持ちそのものが消えていく事があるかもしれません。

いきなり大学を辞めるのではなく、大学を辞めるまでの間にできることを探し、めいっぱい取り組んでみてください。

休学をしてもまた大学を辞めたくなったら、その時に中退すればいい。

在学中にできることを試行錯誤をしてみても、なお大学を辞めたい気持ちが強い……。

その時こそ、本当に大学を辞めるタイミングです。

「大学を辞めたい」という気持ちは甘えではありません。

自分の意志に反してやりたくないことに取り組み続けると、のちに深刻な悪影響を引き起こします。

(筆者は新卒で入社した大手コンサルティングで毎週40時間残業するなど「もみくちゃ」にされ、精神面で絶不調になり、しばらく働けなくなった経験があります)

ですから、どれだけやってもうまくいかないと感じたときは、きっぱり決断することも大切です。

どんな決断であれ、筆者はあなたの決めたことを尊重し、いつも応援しています。

まとめ

今回は、「大学を辞めたい」というしんどい気持ちを乗り越えるための方法を解説しました。

まずは大学を辞めたい理由を整理しましょう。

そして、「自分がやりたいことは、本当に大学を辞めないと出来ないことなのか」、一旦踏みとどまって考えてみてください。

「学生」という特権を利用できるシーンは世の中にたくさんあります。それを使ってみるのも一つの方法です。

もし考えたり行動したりするための時間が足りないのならば、いきなり中退するのではなく、休学して時間を作りましょう。

大学を辞めずにできることは、全部やり尽くしてみましょう。

全部やって、やって、やり尽くして、もしそれでも大学を辞めたい気持ちが強く残っているのであれば……

その際は思い切って退学です!

新たな場所へ踏み出すあなたのことを、筆者はいつも応援しています!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。